コンクリートの壁があると、Wi-Fiの電波は大きく弱まります。木造住宅に比べて電波が通りにくいのは、コンクリートの密度と鉄筋の組み合わせが原因です。この記事では、なぜコンクリート壁で電波が届かなくなるのかを整理したうえで、家庭でできる改善策を順番に紹介します。
コンクリート壁でWi-Fi電波が弱くなる理由
Wi-Fiの電波は、壁・床・天井を通過するたびに強さが落ちます。これを「電波の減衰」といいます。減衰の大きさは壁の素材によって異なり、コンクリートは特に影響が大きい素材の一つです。
素材ごとの電波の通りやすさ
一般的に、素材の密度が高いほど電波は通りにくくなります。大まかな目安は以下のとおりです。
- 木材・石膏ボード(木造の壁):電波が最も通りやすい。吸収率はおおむね0〜10%程度
- レンガ・ブロック:中程度の遮蔽。吸収率5〜35%程度
- コンクリート(RC造):電波が通りにくい。吸収率は10〜90%とばらつきが大きい
- 金属・鉄扉:ほぼ通過しない。吸収率90〜100%
コンクリートの吸収率に幅があるのは、壁の厚さや鉄筋の密度によって変わるためです。薄い間仕切り壁と、外壁や構造壁では遮蔽の程度が異なります。
鉄筋が電波を反射する
RC造(鉄筋コンクリート造)の建物で電波が特に届きにくいのは、コンクリートそのものの密度に加え、内部の鉄筋が電波を反射するためです。鉄のような導体は電波を通さず、反射・吸収します。木造の壁と比べると、RC造の壁は1枚で数十dB単位の減衰が起きることがあります。
たとえば10dBの減衰は電波強度が10分の1になることを意味します。20dBなら100分の1です。コンクリート壁を2〜3枚挟むと、電波強度が極端に下がるケースがあります(要確認:壁ごとの正確な減衰量はメーカーや測定条件により異なるため、バッファローなど機器メーカーの公式情報も参照してください)。
周波数帯による違い
Wi-Fiには主に2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯があります。障害物への強さが異なるため、コンクリート壁越しでは周波数帯の選択も影響します。
- 2.4GHz:障害物を比較的通りやすい。電子レンジや近隣のWi-Fiと干渉しやすいが、壁越しではこちらのほうが届きやすいことが多い
- 5GHz:速度が出やすく安定しているが、障害物に弱い。コンクリート壁を1〜2枚挟むと急速に弱まる
コンクリート壁越しに電波を届けたい場合、まず2.4GHzに切り替えて改善するか確認するのが最初の手順です。
まず確認すること:ルーターの置き場所
機器を追加する前に、ルーターの置き場所を見直すだけで改善するケースがあります。
ルーターは家の中心に近い場所に置く
ルーターを部屋の端や玄関付近に置いている場合、反対側の部屋まで電波が届きにくくなります。家の中心に近い場所に置き直すだけで、カバーできる範囲が広がります。
具体的な目安として、電波を届けたい部屋からルーターまでの間にあるコンクリート壁の枚数をできるだけ減らす設置場所を選ぶことが重要です。壁を1枚挟むのと3枚挟むのでは、届く電波の強さに大きな差が出ます。
高い場所・見通しのよい場所に置く
ルーターは床の上より、棚やテレビボードの上など高い位置に置いたほうが電波が広がりやすくなります。また、金属製の棚や電子レンジの近くは電波を遮りやすいため避けましょう。
ルーターの置き場所についての詳しい解説は「Wi-Fiが部屋まで届かない原因は?弱い部屋の改善方法を解説」も参考にしてください。
コンクリート壁を越えるための5つの対策
ルーターの置き場所を変えても改善しない場合は、以下の対策を順番に試してください。
対策1:2.4GHz帯に切り替える
スマートフォンやパソコンが5GHzに接続されている場合、2.4GHzに切り替えると電波が届くようになることがあります。速度は若干下がりますが、まず接続の安定を優先するのが現実的です。
ルーターの管理画面または端末のWi-Fi設定から、「(ネットワーク名)_G」や「2.4G」と表示されているSSIDに切り替えてください。表示名はルーターのメーカー・機種によって異なります。
対策2:Wi-Fi中継機を設置する
ルーターの電波を中継機で受け取り、そこから再度飛ばすことで、コンクリート壁を挟んだ部屋にも電波を届けることができます。
中継機を設置するときのポイントは、ルーターと電波の届けたい部屋の中間に置くことです。コンクリート壁の手前(ルーター側の部屋)に置けば、壁を越える前に一度電波を受け取って増幅できます。壁の向こう側に置くと中継機自体が電波を受け取れず、効果が出ません。
中継機の設置場所の選び方は「Wi-Fi中継機の置き場所はどこ?失敗しない設置のコツを解説」で詳しく紹介しています。
対策3:メッシュWi-Fiを導入する
メッシュWi-Fiは、複数の親機・子機が連携して家全体を一つのWi-Fiネットワークで覆う仕組みです。通常の中継機と比べて次のような違いがあります。
- SSIDが共通のため、部屋を移動しても自動で最適な機器に切り替わる
- 機器間の通信が最適化されているため、速度低下が起きにくい
- 複数の子機をコンクリート壁の前後に配置することで、効率よくカバーできる
コンクリートが多い家や、複数の部屋で安定した接続が必要な場合には、中継機よりメッシュWi-Fiの導入を検討する価値があります。初期コストは高くなりますが、設定の手間が少なく扱いやすいのも特徴です。
対策4:有線LAN(LANケーブル)で延長する
コンクリート壁を越えてLANケーブルを引き、別室にアクセスポイント(有線接続できるルーターや中継機)を設置する方法です。電波を使わないため、壁の素材に関係なく安定した通信が得られます。
施工上の問題(壁の穴あけ・ケーブルの取り回し)はありますが、テレビボードの裏やコンセント付近を経由するルートを工夫することで設置できる場合があります。賃貸では管理規約の確認が必要です。
対策5:PLCアダプター(電力線通信)を使う
家庭内のコンセント配線を利用してデータを送受信する機器です。コンクリート壁越しにLANケーブルを引けない場合の代替手段として使われることがあります。
注意点として、電気系統の状態や配線の構造によって速度・安定性にばらつきが出ることがあります。また、ブレーカーの系統が異なるコンセント間では通信できないケースがあります。製品の仕様と自宅の配線状況を事前に確認してから購入するのが安全です(要確認:PLC対応機種の最新ラインナップや対応回線速度はメーカー公式サイトでご確認ください)。
対策を選ぶときの考え方
どの対策が合うかは、建物の構造や用途によって変わります。以下の流れで判断するのが現実的です。
- まず試す:2.4GHzへの切り替え・ルーターの置き場所の変更(コストゼロ)
- 効果が出ない場合:Wi-Fi中継機の設置(数千円〜)
- 中継機でも不安定な場合:メッシュWi-Fiへの移行、または有線LAN延長
- 壁越しにケーブルを引けない場合の代替:PLCアダプターの検討
一戸建ての2階でWi-Fiが弱い場合の対策については「戸建て2階でWi-Fiが弱い原因は?届きにくいときの改善方法」もあわせて参考にしてください。
まとめ
コンクリート壁がWi-Fi電波を遮りやすいのは、素材の密度と内部の鉄筋が電波を吸収・反射するためです。同じ壁でも、鉄筋の密度や壁の厚さによって影響の大きさは変わります。
改善の手順をまとめると以下のとおりです。
- まずルーターの置き場所と2.4GHz切り替えで変化を確認する
- 効果が出ない場合は中継機をコンクリート壁の手前(ルーター側)に設置する
- 複数部屋で安定させたいならメッシュWi-Fiを検討する
- 電波に頼らない解決策として有線LAN延長・PLCアダプターも選択肢になる
コストをかけずに試せることから順番に確認することで、不要な買い替えを避けながら改善できます。

